ひでG

オーディブル: 鼓動を響かせてのひでGのレビュー・感想・評価

3.5
配信は、話題作やアクション映画の中にひっそりとこーゆー地味系のドキュメンタリー作品が紛れて入っているのがありがたい。
本作は39分の短編。公開はどういうかたちだったんだろう。なかなかドキュメンタリーを映画館で観る機会は少ないので、とても貴重だ。(本作は配信だけかな?)

メリーランド聾学校のアメリカンフットボール部を描く。

このチームは「下剋上球児」ではなく、リーグ戦で連勝している強豪だ。
チーム内やコーチとのコミュニケーションは、手話を用いている。当たり前だが、手話はかなりスピーディーで、それにより連携など作戦面やお互いを鼓舞したりしている。
その他、ホイッスルや応援の代わりが太鼓などによる鼓動。これがサブタイトルにも使われている。

以前、ブラインドサッカーの選手たちのお話を聴いたり、実際の試合を観たりしたことがあるが、視覚障害の場合は、耳による指示が生命線で、ゲーム中の応援はNGだった。

ブラインドサッカーもここで登場する聾学校のチームも、障害者スポーツなんて特別のカテゴリーは相応しくない。もう、本格的なアスリート(あるいはその手前の高度な学生スポーツ)だと感じた。

さて、本作!短い時間の中に、主にカメラが追っている選手の口から、親友の自殺という痛ましい過去が語られる。

学校としとは、スポーツで実績をあげているが、聾唖者の生き辛さという点では解決していないことが山のようにあるのだろう。
大会が終わり、1人の選手が、「ここを卒業してからの方が遥かに大変だろう。」と社会に出た後の不安を吐露する場面がある。

スポーツには社会を変えるきっかけにはなるだろうが、単にそれに感動するだけでなく、隔たりのない社会をどう作っていくのかは、これからの大きな課題だと思う。

この先の彼らも観てみたい。
ひでG

ひでG