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ドッペルゲンガーのdm10foreverのレビュー・感想・評価

ドッペルゲンガー(2016年製作の映画)
3.0
【使われてるのは・・・】

ちょっと前に、笑えるような、でもちょっぴりゾッとするような体験をした。
職場の休憩室でちょっと遅めのお昼ごはんを食べていたときのこと。
既に休憩時間のピークは過ぎていたため、休憩室には僕を含めて数人しかいなかったんだけど、その中の一人(先輩)が、突然こう切り出した。
「ねえ、dm君。エビの背綿って取れる?」
「は??」
「ほら、エビを調理するときにさ、取るじゃん。背綿。あれ、どうやっても上手く取れなくてさ。いつもちぎれちゃうんだよね。」
「・・・あまりエビを調理しないからわかんないけど・・。でも背綿って、竹串とかで背中のところからクイって引っ掛けたら簡単にスルッと抜けるやつだよね。」
「そう、そうなんだけどさ・・・私がやると絶対途中でちぎれるんだよね。やり方が悪いのかな・・」
(・・・「やり方」っていうほどのものでも・・・ねぇ・・・)
と、答えに困っていると、何処からともなく

<ダイジョウブデスヨ>

(ん?)

あたりを見回しても近くには僕とその先輩しかいない。
「誰?今の」
そして、二人の目に留まったのは先輩のiphone・・・。
そうなんです。何かの拍子でsiriが起動して、先輩の声に反応して返事を返したのです。
その音声はちょっと離れた席に座っていた看護師さんにも聞えていたらしく、みんなで爆笑となりました。
(まさかsiriに慰められるとは・・・)
でも、よく考えたらsiriが人間の会話を聞いてたって事ですよね・・・。ちょっと怖い。

ってな感じで、いつの間にか自分たちが使っている(支配している)つもりのモノのはずが、いつのまにか自分たちが「使われる(支配される)側」になっているって、ある意味ではすっごい皮肉だよねっていうお話し。

友人4人で夜な夜な集まってお酒を飲みながら、下世話な話で盛り上がる。
それは「類友」だからこそ話せるようなギリギリトーク。
いつしか話題は「メールの良さ」や「便利なアプリ」について・・・。

「そうだ、写真を撮りましょう。これは映された顔から『楽しさの程度』が分かるアプリなのよ。」

スマホの性能は日を追うごとに進化している。
カメラの性能やアプリの性能だって。

っていう潜在意識の「刷り込み」を利用しているんですよね、こういうのって。
それまでは「当たるも八卦、当たらぬも・・・」程度で楽しめていたものに、技術という裏付けがついてきた辺りから、実しやかな「信憑性」を感じるようになる。

たぶんね、一昔前の、それこそこんなアプリがまだ出始めたばかりの頃だったら(そんなオモチャで何がわかるってよ)と鼻で笑って終わりだったと思う。
でも、「意外と高スペックなんだよ」という情報を刷り込まれた途端、何故だかそれを受け入れてしまう。
実際はどうかわからない。
本当にオモチャのような程度のアプリかもしれないけど、いつしかそういうものに疑問も不信も持たなくなっている。
(もう、アナログなんて必要なくなるな)
お互いの最新アプリを自慢し合いながらワイワイ楽しむ4人。

そこに現れる「5人目」・・・?


いままでのチマチマした会話が全部フリになるオチ。
なるほどね・・・。

これはもう一回最初から観たらわかるかもね。
(そういう事ね)っていう。
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