Omizu

上海のOmizuのレビュー・感想・評価

上海(1938年製作の映画)
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【1938年キネマ旬報日本映画ベストテン 第4位】
山本薩夫との共同監督『戦争と平和』や『女の一生』などの戦後の作品も有名だが、それ以上に記録映画を多く制作した亀井文夫監督のプロパガンダ映画。ご本人の写真みると俳優?ってくらいのイケメンなんですよね。

まだ日本が優勢だった頃の上海を映した作品。紛れもないプロパガンダだが、空元気を演出するというよりは情緒に訴えるような感性が日本的な気がする。日本軍戦死者の墓碑を映したシーンが異様に多い。

子供をつかった演出があざとく、軍人たちのインタビューでは言わされている感が半端ない。

印象的だったのは日本軍のパレードのシーン。脇に並ぶ群衆を映し、彼らの大半は中国人や欧米人。ほぼ笑顔をみせている人はおらず、恨めしそうな目でにらんでいる顔を図らずも捉えてしまっている。これこそ記録映画。

戦争ドキュメンタリーというのに興味がないのであまり面白いとは思わなかったが、様々な趣向を用いた演出は上手いと感じた。プロパガンダ映画なので評価はしないでおきますが。
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