Runa

わたしは最悪。のRunaのネタバレレビュー・内容・結末

わたしは最悪。(2021年製作の映画)
3.6

このレビューはネタバレを含みます

あいたたた、となるアラサー女子の話。
何とも「共感した!」とは言いづらい映画だが、
独特であると信じたい、子どもを産む前に何かになりたい、何かをなしたいと足踏みする気持ちは、共働きの現代誰もが思う葛藤なのでは。

医大に受かる賢さとプライドを持ちつつ、移り気で継続できない、たまの努力がぽつぽつそれなりに実を結び、才能のある彼氏と比較して卑屈になり別れ…レベルを落とし付き合った彼だと今度は知的承認欲求が満たされず…(胃もたれ)

アクセルが辛かったな。
別れ話の時に、切り出した側が辛い顔して泣いているのはいつ見ても腹立たしい。「あなたにはもっと相応しい人がいる」というありきたりでテキトーな理由も誠実さに欠け、主人公はやはり「最悪」だと思う。
けど、人間、こういうことはままあることなのではとも思う。珍しいことではない。
それを原題のように「世界で一番悪い私」と表すのもまた、自分が特別だと自意識過剰で自分本位で、傲慢な主人公を表しているようで、乾いた笑いが漏れた。

あと偽アダムドライバーが出てくる、と事前情報を持っていたが、本当に出てきて爆笑した。

ラストは意味深。なぜかカメラマンになっていたけど、アクセルの写真集で名声を得てその地位を得たのでは?など邪推してしまい、落ち着かない気持ちで終わった。それっぽく髪を短くしてるのもわらける。

きっと彼女はこれからも章を重ねる。
うごうごと動き、周りも巻き込み、またたまの成果を得て充足する。そういうものだから。
劇的なことを起こすのは努力の積み重ねかもしれないけど、逃げることや諦めることは、悪いことではないのにな、と、なぜか幕が降りた時頭によぎった。彼女はいつも何かを作ろう変えようとしていたけど、ふと力を抜き取捨選択することで、また大きく呼吸して動ける。
戒めとしても、息抜きとしても、話のネタとしても完成しない余韻のある映画でした。
Runa

Runa