ゆめちん

すべてうまくいきますようにのゆめちんのレビュー・感想・評価

4.0
すべてうまくいきますように
 
“生きることと延命することは違う"
 
人生を謳歌していた85歳のアンドレは、脳卒中で倒れ体が不自由になり、長女のエマニュエルに人生を終わらせる手助けをしてほしいと頼む。
 
安楽死・尊厳死がテーマなのでシリアスな展開を想像しながらも、本人と家族がそれぞれの気持ちに素直に寄り添っていくのと、自由気ままなアンドレのユーモラスさも相まって、重くなり過ぎずにどこか不思議な温かさを感じる作品になっている。
 
とは言え、いざ老いや病気に勝てなくなった時、人はどう最期を迎えるべきなのか、何が美しい人生なのか、家族に迷惑は掛けたくない、子供としては親を自死という形で見送るのは辛いなど、親と子両方の立場で "自分のこと" として色々と考えてしまう。
 
昨年末リバイバル上映された "ラ・ブーム" を見逃し、数十年ぶりにスクリーンで観るソフィー・マルソー。感情を抑えながらも、家族への愛や人間の情が滲み出た演技が際立ち、年齢を重ねたことで円熟味が増し、アイドル的な女優からフランスの国民的女優になった印象。
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