mimitakoyaki

グレート・インディアン・キッチンのmimitakoyakiのレビュー・感想・評価

4.4
これはすごいインド映画!
主人公の妻もその夫も役名がなく、これは、この人たち固有の物語なんかではなく、インドの夫婦、家庭に当てはまる物語なんだろうと思いました。
タイトルも皮肉が効いています。

まあ、出てくる男達が揃いも揃ってクソなんですよ。
女性は男性の所有物だと当然に思っていて、女性は自分の考えを持ったり、やりたい仕事をしたりできずに、意思も人格も否定され、ひたすら家のために朝から晩まで働き、家に尽くす存在です。
家政婦だったらお金もらえますけど、妻なのでそれもないし、夜は夫に体も支配されるので地獄です。

来る日も来る日もその繰り返しを淡々とドキュメンタリータッチで克明に映し、はじめは「インドの料理は手が込んでて美味しそう」くらいに見てるんですけど、そのうち、「テメー、それくらい自分でやれや!」とか「もうこんな家出て行こうぜ!」とか、イーーッてなってめちゃくちゃ腹立たしかったです。

インドの女性の地位があまりに低くて、スマホのある時代に、まだ「生理は穢れ」などと言ってるし、「パッドマン」でそういう因習があるのは知ってたけど、まだやっとんのかいっ!と思いました。

特に大きな出来事が起きるわけでもないのに、その奴隷のような日々の積み重ねだけで存分に地獄みを感じるし、ここまで抑圧された中で、女性がフェミニズムと出会い、自分の意思で自分の人生に歩み出していくのがとても良かったです。
主人公が、自分の弟に言ってやった一言や、夫と舅に浴びせたのが最高!
よくやった!

ジェンダーギャップ指数を見ると、日本も116位で酷いんですが、インドはさすがにもっと低くて146カ国中135位でした。
こんな家父長制の男尊女卑、ミソジニーごりごりのインドでも、こうして本作や「シークレット・スーパースター」のように、その理不尽さを訴え、女性を鼓舞する作品が出てきていることが素晴らしいし、女性の物語がこれからもたくさん見られるといいなと思います。

35
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