枯れたハーヴェイ・カイテルの滋味深き存在感が良かった。結論から言えばとても好きな作品だった。
マイナス点は作家のアレコレが余分だった事。マフィアを近代化し「ランスキーがマフィアを作った」 とまで言わしめた伝説の人物にもっと迫るべき。庇い続けたバグジーの処刑をどんな思いで了承したのか。
力よりも頭脳派で“ビジネスマン”を自称したランスキーだが、カジノに目を付けるあたり確かに稀代のビジネスマンだ。
カジノは今や一大産業になり、ネイティブアメリカンの居留地でも雇用と収益の両面で重要な産業になっているほど。
ビジネスで成功し、殺害も収監もされなかったランスキー。ギャングとしては良い人生だったと思うが、祖国と信じたイスラエルを追われ、最愛の息子は施設に。家族に囲まれた老後とは程遠く、背中を映すラストカットでなんだかシミジミしてしまった。