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ステキな金縛りのodyssのレビュー・感想・評価

ステキな金縛り(2010年製作の映画)
3.0
【酒は新しいが皮袋は・・・】

三谷作品は嫌いではありません。『笑の大学』なんか上出来の映画でしたし、『ザ・マジックアワー』も『有頂天ホテル』もまあまあ楽しめました。

今回も、奇抜な発想をもとにして、2時間半近い長尺の作品が退屈せずに見られる程度には仕上がっています。

でも・・・何か、微妙に足りないのです。くすくす笑えるけど爆笑するほどではない、ということもあるかもしれません。だけど、それだけじゃない。

登場人物たちがそれぞれ人間くささという縛りを持っているところが微温的だから、かもしれません。一番の好例は中井貴一演じる検事でしょう。しかつめらしい顔をして六法全書の権化みたいな態度をとっていたのに、実はそれなりに・・・という設定ですね。

また、変なこだわりが滑稽味を出すはずが、阿部寛はいいとして(彼の役はこの映画で一番よく出来ていると思いました)、小日向文世はどうですかね。映画だから映画でぺダンチックにという趣向でしょうけれど、私にはちょっと空回りというか、少しズレているように見えました。

まあ、そういった趣向は人間喜劇(幽霊喜劇?)としては欠かせない要素なのかもしれない。だけれども、幽霊の証人が裁判にという奇抜な前提からすると、どうも凡庸な感じが免れない。酒は新しいのに、袋が古いまま、という奴です。

いろんな役者がちょい役で出てきているのが、何となくもったいない気がしました。最ももったいなかったのは、深田恭子のウェイトレスですね。短い出演だけど、彼女の美しさがすごく目立っていた。誰か、深キョン主演で『ウェイトレス物語』って映画を作らないかなあ(笑)。
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