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ステキな金縛りのYSKのレビュー・感想・評価

ステキな金縛り(2010年製作の映画)
2.1
ポンコツ弁護士が担当した殺人事件の容疑者のアリバイを証明できるのは、容疑者が宿泊していた旅館に現れる幽霊ただひとりだった…というお話

特に連ドラの三谷作品には好きなものも多いのですが、どうにもこの作品にはうすら寒さを感じ好きにはなれません
幽霊が証人として法廷に立つというありえないシチュエーションこそ面白いものの、その骨子を補強するあれこれの一切に説得力を感じられず、ありえないシチュエーションで笑いを起こすはずのシーンにすら小さな別の笑いを入れ込むせいで焦点がぼやけてしまったように感じられるためです

例えば武士の幽霊にも関わらず武士らしさがその出自以外に感じられず、旅館から東京へ向かう際に見かけたファミレスに入りたがったりメニューを見ながら何を注文するか迷ったりといった具合、もちろん戦国の時代から現代までずっと化けて出続けていたのだから現代の文化に慣れ親しんでいるという説もわからないではないものの、ならば武士である意味があるのでしょうか
それ以外にもタクシーでの移動中、弁護士と幽霊が会話をしているものの、幽霊が見えないドライバーが自分に話しかけられていると勘違いするシーンにしても、ドライバーがなぜか落ち武者ヘアをしているために笑いがぶれてしまう気がします

大きな笑いをとりたいであろうシーンでも別の小さな笑いを入れ込んでくるせいで大きな笑いが滑っている印象が多く、そのうえ主人公が事件を通して何か成長したということもなく終始バタついているため、「ここは笑うところですよ」「ここは感動するところですよ」というシーンのひとつひとつがうすら寒く、だだ滑りし、はっきり言えばつまらなく感じます

個人的に三谷作品は、真面目なシーンの中のおかしみや会話の妙がテクニカルな方だと思っていたせいで、どうにも大味な作品だという印象以外残りませんでした
上手くない、下手という印象です
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