ワンコ

明日に向かって笑え!のワンコのレビュー・感想・評価

明日に向かって笑え!(2019年製作の映画)
3.9
【サッカーとタンゴの国、チェ・ゲバラを生んだ国】

タイ発のアジア通貨危機が、韓国に飛び火し、韓国がIMFの管理下に入ったさまは映画「国家が破産する日」に描かれたが、これは、ロシア通貨危機、当時の世界最大のヘッジファンドLTCMの破綻も誘発、ブラジル通貨機に繋がっていく。

そして、アルゼンチンの金融危機。

1990年代の終盤から、2000年代の初めにかけて発生した金融危機だ。

日本では、バブルが弾けた後遺症で、山一証券や、長銀、拓銀なんかが破綻した時期と重なる。

もともと、アルゼンチンは80年代、他のラテンアメリカ諸国同様、放漫財政からハイパー・インフレを経験し、90年代になって、緩やかなドル・ペッグ制に移行し、為替やインフレを一定程度抑えることに成功していたことから、この作品に描かれたような事態は非常に衝撃で、債務不履行にも陥ってアルゼンチン債が紙くずみたいになり、最近でも、僕の仕事で当時のことが話題になるほど、対外的なアルゼンチンの評価を下げる大事件だった。
だから、今でも、アルゼンチンの財政政策を信用している人は多くはないし、実は、昨年(2020年)5月にも国債の利払いが実施されず、9回の債務不履行に陥った。

当時の、こんな状況で、米ドルのキャッシュをひとりで抱え込み、甘い汁を吸おうとする弁護士がいたら、それは、やっつけるべきなのだ!

それこそ、勧善懲悪!

アルゼンチン国民の大半の生活は困難を強いられていたのだから、許す!。

そんな気分で、とろ臭いおっさん連中を中心に、憂さ晴らしをして、ハッピーエンドなのだが...、約1名、裏切るやつが...いた!

まあ、これもアルゼンチンというお国柄なのだ。

この国は決して、完全に団結することはないのだ。
僕は強くそう思う。

ああ、サッカーとタンゴの国アルゼンチン。

チェ・ゲバラを生んだ国アルゼンチン。

この国は、一体どこに向かっていくのだろうか。
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