Shun

エンドロールのつづきのShunのレビュー・感想・評価

エンドロールのつづき(2021年製作の映画)
4.0
『ニュー・シネマ・パラダイス』好きにはたまらない一作という話を聞いてから気になっていたインドとフランスの合作映画。

アカデミー賞のインド代表が『RRR』ではなく、本作というのはやはり映画を題材にした物語だから賞レースで有利に働くと考えたからなんでしょうか?

監督自身の物語をベースにした実話で、チャイ売りの9歳の少年・サマイが映画に魅了され、やがて映画を作りたいという夢を抱くようになるというストーリー。

なんとなく良い話になってるんだろうなと想像してましたし、実際のところそうでした。
ところが、良い意味でシリアスな展開が待ってます。正直意外でした。

英語が話せる者とそうでない者のインドにおける格差社会やフィルムの終焉という逃れられない現実が、一人の少年の成長と夢への一歩を後押しするという構成に引き込まれました。

心を入れ替えて何かを決意するきっかけとなる出来事って稀にありますが、今置かれた現実をまざまざと目の当たりにした瞬間なのかもしれません。
そういう経験をした人間の簡単にへこたれたりしない芯の強さをこの映画を観て感じました。

サマイの先生がさりげないキーパーソンで登場し、彼に夢を叶える方法を諭してくれるんですが、胸に響きました。
当たり前の、普通のことを言ってるようで刺さる言葉ってたまにありますよね。シンプルイズベスト!

サマイが『ニュー・シネマ・パラダイス』のトトとめちゃくちゃ重なって、映画に胸をときめかせてフィルムの中身を覗き込む姿はパロディそのもの。

のどかなインドの田舎町の風景に心穏やかになり、サマイのお母さんが彼に持たせる弁当の美味しそうな手料理の数々にお腹が空きました。
Shun

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