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よい子の殺人犯のkuuのレビュー・感想・評価

よい子の殺人犯(2018年製作の映画)
2.8
『よい子の殺人犯』
原題 最乖巧的殺人犯 The Magnificent Bobita.
製作年 2019年。上映時間 80分。

心優しいが孤独なアニメオタクの青年が起こした事件を通して、現代社会の闇を浮き彫りにした台湾の社会派ミステリードラマ。
主人公のアナン役のホアン・ハー(黄河)はよく見たら男前。

母親と認知症の祖父と暮らす台湾の青年アナンは、人と争うことが嫌いな優しい性格の持ち主。日本のアニメ『ボビッター』に夢中で、周囲からは負け組、オタクとレッテルを貼られている。
ある時、そんな彼の家に博打で失敗した叔父が突然転がり込んできて、平穏だった家は緊張感に包まれる。
一方、そんな中でアナンは、ボビッターマニアの女子に恋をする。
しかし、彼女との甘い夢が実現しようとした矢先、思いも寄らないことが起こる。。。

今作品は、台湾の貧困層の暮らしがこないに不衛生で苦しいのか?
日本で云う昭和の貧困層のような生活と見せかけて、パソコンに各種玩具があるし疑問も覚える。
その貧困家庭をデフォルメしてでも伝えたいことは何となくながら理解できる。
作中の諸々の場所の不衛生感は、妙に観てる側をゾクッとさせる点は巧いとは思います。
(最近はムエンダーとコンバットのお陰か全く見なくなったゴキちゃんの存在のやう)
製作側の意図するとこなら多少認めるとこはあります。
しかし、テンポの悪さや、日本のサブカルをバカにしたような描写で、その巧さすら打ち消されてるかな。
アニメオタクの青年の孤独や、引きこもりといった社会問題を織り込んだ内容は頂けんなぁ。
何故社会に問題なんやろ。
ひきこもりの問題が、台湾においてどれ程深刻であるかは、正直、分からないし、今作品を観たとて推し量れるまでの描きかたはされてはいない。
『現代社会の闇を浮き彫りにした』ってのも、闇ってほどの破壊力もなかった。
明日食う飯が無いって訳でもないし、何が問題なん。
暮らす国が違うしかもしれないけど、日本やと、こないな事件を扱う作品やと妙にリアリティーを感じて恐怖を覚える。
また、銃社会の国ではもっとエグい事件は起こりうるし、その描写もよりストレートで破壊力もある。
台湾は知ってるようで、あまり知らない小生の無知故にどうも絵空事でしか感じなかったかな(モチーフにした事柄があったとか書いてあったがフィクションにはかわり無いし、詮無いことやけど)。
どうも、先に書いた、孤独や引きこもりと云った事柄がサブカルチャーに原因があるかのように描かれてる偏見が引っ掛かる。
人付き合いが苦手で、サブカルに嵌まって一人遊びが上手なら、なんて問題ないんちゃうん。
アナンはヘタレながら根本的には悪い奴やない。
殺人犯予備軍が引きこもりやニートなんて理論もあり得ない、孤独は要因の一つではあるとは思うが。
また、飛躍して引きこもりが鬱などの精神障害を生むってのを問題視にしとんのなら、齷齪と働いてる方がヤバい。
鬱病などの最高のアンチドーテ(解毒剤)は云わずと知れた、
『休息』。
鬱病と診断した医師の大半は休息を勧める。
『ゆっくり休みなさい』と。
しかし、ケインズってオッサンは
『労働から解放された次には余暇に悩まされる』
と云っとるが、人類は暇を克服できると個人的には考えます。
いや、人類は生活を営む以上暇なんてないかな。
ケインズ研究者のロバート・スキデルスキーもこのことを述べてる。
ロバート・スキデルスキー自身はバランス派で、ただ、臨床した人は暇に向いた人もいれば、逆の人もいると。
でも、暇に向っいてない人が鬱になることもない。
何故なら、人間の仕事はなくなるわけじゃないし、経済活動(銭稼ぐこと)が人間の活動のすべてじゃない。
趣味とか(今作品の主人公が『ボビッター』に萌えるように)、家族団らん(今作品の主人公、母ちゃん、それにボケた爺さんとの関係性おじいちゃん話相手でも十二分に仕事と云える)とまぁ、主人公も何かしら動きまくってる。
せやし、ボビッターは悪くない笑
仮にゼニを稼ぐことが仕事なら、ご隠居さんが畑で家族とご近所さんのために一生懸命暑いなかでも作物を育ててるのは仕事と呼べなくなる。
そんなわけはない。
人様に多少の迷惑をかけなきゃ人は生きては行けないが、多大な迷惑さえかけとらんかったら何ら問題じゃない。
しかし、多大な迷惑をかける問題は問題やし、しかし、その要因の一つが孤独ではないとは云いきれない。
オタクと孤独はイコールではなく、あくまでも孤独が要因一つ。
サブカルは関係ない。
サブカルからの切り口で描く手法は頂けない。
問題は、サブカルではなく、社会的、政治的なモンの要因が大きなウェートを占めてると思うし、数ある要因一つ一つをスパスパと浅くでも良いし小気味良く斬り込んで描いてほしかった。
(暗に含んでは描かれてはいたが分かりにくい)
テンポのよいパンチの効いた方法で織り成して描いてたら嵌まってたかな。
まぁ、今作品においては、主人公アナンのコアな部分がヘタレやしどうもならん所やけど、『ボビッター』同好会のマドンナのイチゴちゃん、この女子がアナンの問題にとっての大きな癌なんか特効薬かよく分からない。
んん~、、、女のお陰で、どないな手段にせよアナンは、お金をゲットしてニート、及び、引きこもりからは一瞬は脱出してる。
反面、多大な問題を引き起こす大きな要因はイチゴちゃんやし。
こりゃロジックや!!
結局、社会問題を善くも悪くもするのは魔性の女なんかい!!!
なんかよ~分からん感想ですいません🙇。
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