雨宮はな

人の雨宮はなのレビュー・感想・評価

(2022年製作の映画)
5.0
こういう言葉使いは嫌いだけど、あえて今の若者風に言うなら「バチくそ良かった」ってやつだと思う。
スクリーンがおすすめ。
これは自宅やら掌やらで観るのはもったいない。
知ってる光景やわかる言葉が多すぎて泣けなかった。

説教やお涙頂戴が無くても、死生観は描けるし、死をテーマに作品を作れる。
これは人の死をちゃんと受け止めたからこそ作れる作品だ。
死んだ人をきっかけにしたオナニー作品はわりとよくあるけど、これは別。

監督の描く大人のための絵本のようなこの作品は、非常に良質なファンタジーだ。
誰かのクッションになり、誰かの止まり木になり、誰かの海になるだろう。
この作品に慰められ、癒される人間は多いはず。
大切な誰かを亡くした人だけでなく、自ら消えたい人にとっても、真夜中のココアみたいな役割を果たしてくれる。

生きてる人間と死んでる人間のカラーが逆転してるのが面白かった。
陰陽が表されてるように見えた。

役者陣も素晴らしかった。
誰一人としてセリフを言わされていないと感じた。
衣装を着ているのに、設定の世界だとわかっているのに、彼らはそこに生きて(死んで?)いた。

幽霊って、怖いものじゃないんだな。
ちょっと「めんどくせぇ」けど、あんまり変わらなくて、わりとポップな存在だ。

つまり、「わたしはこの作品がとても好き」ということです。
雨宮はな

雨宮はな