今年の2月にイスラーム映画祭2021で鑑賞
追加されてた！以下、当時書いたメモ


レバノンの男性優位社会がもたらした歪み
映画出演者のDV被害者の多さに驚く
日本人も他人事ではないだろう
しかしそんな現状を嘆くだけではなく、傷ついた人が自分の傷と向き合い前に歩むためのヒントを得られる映画だとも思った

無罪でありながら4年間勾留された女性

演劇というかたちで観客に向かって語られていく辛く苦しい体験
代弁をする、してもらうまたは追体験をするという行為は個人的な救いになっているのではないだろうか、『プリズンサークル』でもそう感じた
辛い過去を芸術作品として語り継いでいくことが救い、希望への光になれば
そんな映画や演劇の持つ一つの役割について再考できた

罪状も一人一人語られる

イランの『少女は夜明けに夢をみる』（2020年わたしのベスト）と比べても女性囚の方々は大変パワフル・奔放かつ身体付きも貫禄あり。施設もそんなにタバコ吸えるんかいという感じであったし18宗派を擁するレバノンは中東の中でもまだリベラル…？なイメージだったけどトークを聞くとDV防止法とかやっと出来てもまだまだ男性に甘い内容でジェンダーギャップも145/153位と大変厳しい状況との事。監督でありドラマセラピーの実践者であるこのゼイナ氏や秀作『存在のない子供たち』のナディーン・ラバキー氏のような方がバリバリ活躍される事を願っております（まぁ一介のしょうもない日本のおじさんがそんな事思っても何の足しにもならん話ですが…）。

姉さんたちが強くて魅力的で。
でもそれは、そうさせた構造を放っといていい理由にはならない。
日本でも叫ばれているジェンダー意識の、最低限の部分すら共有されていない状況に愕然とする。（だからといって、欧米の方法で変わっていく必要はないのかもしれないけれど）
女性蔑視の原因に宗教を持ってきてしまいそうになりつつ、そこに全てを背負わせてはいけないと考えている。

演じる中で自分を解放し、感情を出せるようになっていく様子がまざまざと。見られる側だった彼女たちが観客を見る側になっていくのが印象的で、「犯罪者」として引かれた線が溶けていく感じ、象徴的だと思った。

sinとcriminalは違う、日本語でもそんなに明確に使い分けるだろうか？法学部でもやった問いだな。

アラビア語がほんのちょっとわかって昂った。次はもっと！
そしていつか、観に行きたい。

（イスラーム映画祭で鑑賞。2月26日の感想）