近くまで行ったので国立フィルムセンターに立ち寄り、時間が合ったので観た。
サラ・マルドロール監督、1973年。
アンゴラの1960年代ポルトガルからの独立闘争を女性の視点から描いたという作品。
タイトルの『サンビザンガ』は独立戦争の発祥の地と言える町の名前。戦争の発端となった事件を描く。
何と言うか、無言のリアリズムでありアメリカン・ニュー・シネマ的と言うか。シーンによってはドキュメンタリー的。
一応台詞もあり劇伴もあるけど、全体を静けさが覆う。躍動する静けさ。地下闘争の静けさであり、悲しみの静けさにも感じられる。太陽の静けさ。
投獄された夫を追って、妻が赤子を背負ってひたすら歩くシーンは良かった。
妻は知り合いのところを周り、アドバイスをもらい、役所をたらい回しにされながらひたすら歩く。
辿り着いた家でわらわらと集まって来た女の一人が、泣き崩れる妻の背中から赤子を下ろし、自分のおっぱいをあげる。それが自然の振る舞いのようだ。男は男で労り合う。
2021年デジタル修復済み、映像はきれいで見やすかった。
「蘇ったフィルムたち チネマ・リトロバート映画祭」
監督は『アルジェの戦い』の助監督を務めた人。『アルジェの戦い』をまだ観てないのに…。