「ミッドサマー」で知られるアリ・アスター監督作品。
主演は「ジョーカー」での怪演も記憶に新しいホアキン・フェニックス。
まず映画を観た率直な感想だが、善し悪しよりも困惑が勝つといった印象。
批評のための言語化が非常に難しい。
言ってしまえば悪夢同時上映。
物語が二転三転すると言えば聞こえは良いが、実際は異なる映画を同時に観させられている気分。
だがこれは褒め言葉である。
移り変わっていく場面描写が奇妙なノイズのようなものを生み、観客の不安を煽るような効果を生み出している。
こういった不穏な雰囲気作りに関してはさすがの一言。
街の描写1つとっても普通じゃない光景が広がっていて何が夢で何が妄想で何が現実なのか明確化されておらず映画の全てが主人公の妄想と言われても納得できてしまうほど全貌がぼかされている。
ただ、抽象的な部分も少なくなく、映画の全容が掴めないのも相まって少し冗長に感じ、着地点が非常に分かりづらいという点もあった。
3時間という長尺の映画なので観た後の疲労感は否めず、アリ・アスター監督の独自性も色濃く出ている映画なので人を選ぶ映画ではあるが個人的にはハマれる点が多かったので比較的高評価とする。
