李

ボーはおそれているの李のネタバレレビュー・内容・結末

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.1

このレビューはネタバレを含みます

2024/2/16
ついに公開🤱🏼🪽🛶
好きすぎて何回も再生した本国の予告のシーンたちがようやく繋がった!ただ、劇場鑑賞で最重要な同じ列に来る人ガチャに大負けし帰宅後も消化不良😣上書きのためもう1回足を運ぶこと決意。感想は2回目にまとめて。依提亜さんが手掛けるパンフとポスター本当に好き。

2024/2/18
前回の反省を踏まえて朝イチ回へ

ボーはひたすらにおそれる。私たちは彼の人生を追う。監督は「これまで作った映画で1番好きな映画」と言っているけど、私も1番好みだったかな… 監督の作風に慣れたのも大きいと思う。記憶を泳ぎながら進む夢のような、日頃生きている中で過ぎる些細なおそれを実際に映してみたような、支離滅裂な世界観が癖になる。どこまでが現実でどこからが妄想なのか、曖昧で線引きがないからこそ観る度発見があると思う。彼の主観でしか物語が語られないからこそ、ボーが都合良く、自分に非がないように、現実で起こったことを書き換えた状態で私たちも見せられている可能性があるのがずるくて面白い。ボーの家の鍵は本当に盗られたのか?母の元に帰りたくないから盗られたことにしたのでは?(映画ではボーが目を離した隙に荷物と共に消える) ここだけではなくて3時間ずっとそんな調子なんだろう。でも、ただただ現実で起こったことを流してくれた可能性もなくはないのが色んな解釈ができて良いな。(ボーの言い分を信じたいからか、私はこっちの考え寄り)

以下私が思ったこといろいろ

◾︎ボーの住む街
第1章はブラックコメディ?ボーでなくても住みたくなさすぎる治安の悪さ。ボーの走力が高すぎるのも相俟り、これ笑っていいのか?と思いつつこの章にはちょっとウケてしまう。ボーの偏執病の症状により街の姿は現実とは大きくかけ離れて描かれているのかなと思ったけど、全身タトゥー男がmwの社員だったことが4章で判明するのもあって、ある程度現実?でも、社員写真だとたしか顔にはタトゥーがないから、この齟齬がボーの妄想の分かりやすい証明?(=やっぱり街のカオスさは彼の頭の中の世界)周囲の状況が嘘のようにずっと店の前でラテン踊ってる兄貴好き。

◾︎「鎖はずっとありました」
第3章森の孤児たちのシーンで始まる劇中劇の天使が言うセリフ。鎖=母の支配。鎖を斧で切断したあとに始まる劇はボーにあったかもしれないもしもの人生。愛する人と結ばれ3人の子宝に恵まれる人生もあったのかもしれない。仮面のような顔も季節の移り変わりも、この劇の世界観が好きすぎる… オオカミの家未鑑賞なので観ないとな。

◾︎ボーが父親と勘違いする謎の男性
ボー父の面倒を見ていたと発言(結局彼の正体は明確に提示されないけど、元使用人なのだろうか)、誰も言及しなかったボーのヘルスモニターに唯一着目。森の存在はモナの脚本ではなさそうなので、彼も過去にモナと何らかの揉事があったのか(借金あるみたいなセリフもあった?)、同じような目に遭ったのかなと想像。ジーヴスが森へ襲来した時もボーへ「逃げろ!」と叫んでた、劇中で唯一ボーを味方するキャラクター。唯一と書いたけど、「チャンネル78」のシーンを見ると、グレースも彼にこれがすべて母の企みであることを伝えようとしていた。味方だった?

◾︎モナ登場
すべてボーを帰宅させるために作られた壮大な嘘だったことが判明。被害妄想のような解釈をボーへぶちまける。聞いているとモナの母も毒親のよう。自分の子どもには愛を注ごうとした故にこうなってしまった。親の子育て方法は、育てられた側の子どもの子育て方法の選択肢の1つに入ってしまうからかなり危険で重要。モナは支配的で自分の思い通りにボーを導く歪んだ母親ではあるけど、負の連鎖を断ち切れなかった被害者側の人間なんだろうとも思う。幼少期のボーへ「人生最大の贈り物」と表現しているシーンもあって、すべての始まりにはきっとしっかり愛が存在していたんだろうとも思う。ただただボーからの愛が欲しかった、ボーも母からの愛が欲しかった。何かを誤り始まった負の連鎖の物語。とても悲しい。

◾︎ラストシーン
すべてボーが悪いと執拗に責め立てる裁判シーン。傍聴する観客と3時間静かに画面を見続けた私たちも変わらない構図がとても胸糞悪い。転覆したボートをバックに始まるエンドロールはどっちの日も誰も席を立たなかった。

◾︎ mw industries
本国公開時にA24のショップでグッズが販売されていて、一体なんの会社なんだろうとずーーーっと気になってたmwがボー母の会社であることがようやく判明。劇中あらゆるところに散りばめられたmw製品が目に付く。架空の会社だけど、インスタもしっかり存在してるんだよ!こういう遊び心が好き。perfectly safeキーホールダー欲しかったな〜;;グッズといえぱボーのパジャマも欲しい。

ボーの幼少期役の男の子、ポスターとかで見ていてなんだか印象に残るというか、喋る姿が想像つかなかったけどしっかり喋ってた。この映画が似合うな。アリアスター次回作の西部劇もホアキン主演のよう。家族やトラウマ、何かに囚われた3作からは離れるようで未知!楽しみです。
李