けんいち

ボーはおそれているのけんいちのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
3.9
細部まで忠実に、そして詳細にスクリーン上に映し出された悪い夢。
しかし悪夢を夢で見た通りに再現しても、それは輪郭を失い曖昧に闇の中へと溶け込んでいく。

そういう映画です。

気弱で心配性の男ボーがひたすら悲惨な目に遭っていく。さらに悲惨さの仕上げのように母親の死を知らされる。
母親の葬儀に参列する為に故郷ヘ向かうボーの旅が始まる。

この前半が傑作で最高に面白かった✨

しかしこの旅はボーが心の奥底にしまい込んだ原初的な恐怖に再び対面する旅路となっていく。
ボーの周囲にエキセントリックだったり暴力的だったり挙動不審だったり意味不明だったりする怪しい人物が次々に登場し、騒ぎを起こして消えていく。
この辺のノリは森に迷い込んだ子供がいろんな不思議な体験をする古い民話を聞かされているようで楽しい🎵
変な外科医の妻を演じるエイミー・ライアンが善良さの中に狂気を覗かせて好かった🤩

しかしボーが実家に辿り着いてからのクライマックスは正直言ってちょっと期待外れでした😅

ボーが何を畏れ怯えていたのか?それを見極める作業が映画的な躍動感に欠け、少し退屈なものに見えてしまいました。

ホアキン・フェニックスのしょぼくれて情けなくて神経症的な演技はもはや名人芸の域に達してますな😂