ロールシャッハ

ボーはおそれているのロールシャッハのレビュー・感想・評価

ボーはおそれている(2023年製作の映画)
4.0
「ボーは変わらない」

抑圧されたセクシュアリティと攻撃性、不安と被害妄想、そして歪んだエディプス・コンプレックスが盛り込まれた作品だった。

ボーがおそれているのは「自己決定権」そして、「母親=神=ユダヤ教」かな。

母に従わず、自分で決めると考えうる最悪の事態に見舞われるので、その不安からいつも逃げてきた人生。罪悪感(ギルティ)。
勇気を持って主張・行動しないと、やってないことまでやったことにされる。何で自分だけこんな目にと思う。
自己決定権に関しての不安は筆者も感じているので、冒頭からボーの気持ちが理解できた。

自分で決められない
↑ ↘︎
↑ 母に助けを求める
↑ ↙︎
安心感

このスパイラル。でも掌で転がされているのかもと不安感が襲ってくる。
そして、絶対的な存在の母が見放された時にボーは誰に答えを求めればいいのか。

序盤から洪水のような情報量で「恐れている」という対象を膨らませ、考察の余地を与えていた。
常に何かに怯えていて、3時間観ても成長しないボーというユダヤ人にアリ・アスターの死生観を乗せた冒険だった。

P.S.
歯周病になるの嫌だから、自分もフロスを取りに戻ると思う笑

ユダヤ人は母親が絶対で、神経質な性格な人が多く、第三幕で語られていたが迫害された歴史があり、どこにいても居場所がない。
ヨブ記の不条理の連鎖を映画化してる。

笑いとホラーは紙一重ということか。
ロールシャッハ

ロールシャッハ