真実は恐ろしすぎるため、見てしまうと身動きができなくなる。つまり間接的にしか見ることができない_。
名門校の女性教師エミは優秀で、生徒たちにも慕われている。しかしあろうことか、プライベートなベッドシーンがネット上に流出。たちまち生徒の保護者たちから非難轟々。でもあくまでも夫との愛の営みであり、ふしだらではないと抗弁。かくして彼女一人対親たちと議論を戦わせることになる。
一章は、流出してしまった動画を削除しようとする彼女がブカレストの街をひたすら歩くシーン。あふれる広告に情報、激しい自動車の往来といったように、都市の喧騒の渦に巻き込まれながらも、どこに向かっているのか分からないが歩き続ける彼女。
次章では、矢継ぎ早に出されるテーマに対してのアフォリズムやジョーク、監督の考えなどが簡潔に映像と共に流される。
最終章は学校内で、保護者たちからの質疑応答。議論はしばしば脱線し、論点から外れっぱなし。教育論はまだしも、歴史や政治といったところまで話が及ぶ。もはや収拾がつかないような議論に、監督は異なる三つの結末を用意する。
たしかにブラック強めのコメディ。でもこれを理解して笑えるには相応の知的レベルにないと(わたしにはムリ)。