【もしかしたら】
ホン・サンスの会話劇には、想像力が要求されるけど、なんか、好きなんです。
あまり、白黒言うのは良くないとは分かっているけれども、僕は、この「イントロダクション」の方が、もう一つ同時公開の「あなたの母の前に」より好きだ。
(以下ネタバレ)
この作品は、三つの物語…と云うより、三つの場面から構成されていて、それぞれ、モラトリアムの中に身を置いたままで抜け出すことが出来ないヨンホと、その抱擁が映し出される。
そして、その抱擁の理由や意味は、僕達の想像に委ねられている。
多分、自分の経験と重なるとか、そんなことが重要な要素かもしれない。
中学生の頃は、年上の女性に心を奪われることがあったとか、
学生の頃は、恋愛で周りが見えなくなって、相手の方が周りや将来を見据えていたとか、
そして、最後は、もういい加減大人にならなくてはならなくなって、現実的になっているつもりが、そうではないと分かって…、それで、もしかしたら…と思ったのは、ヨンホは同性の友人に対して恋愛感情を持ったのか、それとも、友情の延長なのかということなのだけれども、まあ、これには回答はなくて、やはり、観る人の想像の中にあるんだと思う。
数年前に「西北西」という作品を見たときに、同性を好きになるのは、僕が異性をふとしたことで好きになるのと同じなんじゃないかと、僕達は多様性とか、かたっ苦しく考えすぎていて、このヨンホのような感じで好きになることだってあるだろうなんて考えたのだ。
僕は面白かった。こんな60分程度の作品なのに、たくさん想像力を使った感じだ。