劇中では不思議な出来事が起こるが過剰な演出はなく、終始淡々としている作り。子供時代の母親や祖母との別れのシーンであっても、劇伴を流したり顔のローズアップになることもない。
子供の視線に合わせたカメラワークや手元で何か作業していても手元ではなく主に子供を映していたのが印象的。観客もその場にいる子供の一人かのような見せ方。
また、そうした淡々とした映像に加えて台詞量も多くない。しかし、だからこそ登場人物の身振り手振りや言葉の一つひとつに重みが生まれる。
子供たちの演技が自然体で微笑ましい。
初見ではタイトルバックが何故母親の背中なのか分からなかったが、最後まで観るともう一人の主人公だったのだと腑に落ちる。
ただ、終盤の湖と人工オブジェのシークエンスは唐突でいまいちのれなかった。