香草

99.9-刑事専門弁護士‐ THE MOVIEの香草のネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

ドラマに続いて映画も小ネタとシリアス感のジェットコースターがおもしろかった。どちらかにちょっとフォーカスして観るのもまた面白い気がするので、何回も楽しめる作品だなと思う。SPドラマから合わせて8割くらいのギャグが松本さん案という話を雑誌でちらっと読んだので、それを踏まえてギャグを味わいにいくのもいいなと思った。
冒頭のネットに誹謗中傷が飛び交う描写は最近よくある今の描き方だなと思った。合っているかどうかわからないこともタグをつけて呟いて、それを信じて拡げる人がいて、手のひらを返すのも秒というその気持ち悪さが分かりやすかった。
トリック自体はすごく巧妙ということではないけれど事実は重たくて、その重たさを全体のテンポ感や深山独特の雰囲気、佐田と深山(や刑事専門ルームのメンバー)の掛け合いが作品の雰囲気を軽やかに包んでいるなと思った。
守がそれまで求めていた事実が明らかになった時の彼のどうにもできない感情がスクリーンから押し寄せてきて泣いた。
"事実で人を幸せにできるかどうかはわからない"と"嘘で人は救えない"が並んだセリフ構成になっているのが誠実だなと思った。残酷かもしれないし、知った時衝撃を隠せないこともあるだろう"事実"を万能と言い切らず、"嘘"の方の良い力を信じない言い方をするこの形は、深山がずっと事実を追い求めているからこそより効いてくるんだなと思った。深山はこの先も"嘘"を良しとせずに"事実"を諦めないことで人を救うのだろうなと思う。守も本当のことを知りたい気持ちを持ち続けていたわけで、すなわち嘘で救われなかった1人だろうけれど、"事実"に呆然として辛くなった1人でもあって、その守と一緒に山本の墓参りに来ていたのは"事実"で人を救う人の行動のように思えた。
エリは深山のようにならずに済んだけれど過去も父母も戻ってはこなくて、でも恭平がいる、という救いがあるから良かったな…と思った。ラスト、恭平はエリと話せたのかが気になる。そういえばSPドラマの時の恭平の怪しさは映画にはなかったな。
エンディングのFind The Answerも良かった。0.1%の可能性を諦めず地道に事実を探求する深山と刑事専門ルームのメンバーにすごくフィットするし、ドラマでも使われていたので安心感があった。
2022-01
香草

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