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偶然と想像のチェックメイトのレビュー・感想・評価

偶然と想像(2021年製作の映画)
3.0
あまり心動かされなかった。自分が鈍感なのか。
三話それぞれに言葉とそれによる感情の働きや揺らぎを描いてそれなりに興味持てるけど三話というのポイントなのか。二話や四話ではなく。
①「魔法」は昔の男への未練を偶然の出来事からある行動に出る。思いをストレートに言えずに男を試すような物言いに狡さを感じて嫌悪感。ま、それはキャラクターだからいいのだけれど人間としてありふれている(ことは悪くはない)と感じるし特別な感興もわかない。また男の反発と本心(と思われる)にどこか整合しない不自然さを感じる。

②「扉を開けたままで」は注意深い男の不注意な思いつきで、ある種望まない結果を招く。
これが一番好きではある。
終始冷静な教師瀬川が思いもかけぬ感動に想像力を失った行動が我が身に降りかかる災難を招く。

③「もう一度」はここで設定された場面で起こるよくありがちな感情(思いとどまった故に後悔する)を一歩踏み出して得る関係性が描かれる。フリをする行為のやや作為的な言い訳の不自然さに違和感ある。

三話いずれも総じて濱口監督の手法と聞くあえて演技をさせないという(自分なりの不完全な理解ではあるが)役者の棒読みのセリフが変に恣意的に聞こえて違和感がある。
セリフ自体は言葉としてよく練られた印象がするけれど、人間はもう少し考えながら口に出す言葉を吐き出すんではなかろうか。
初めて口に出す言葉があんなにスラスラとまるで逆にしゃべる練習でもしたかのような言い方になるのに違和感あり会話に不自然さを感じてそこが気になって内容が耳に入らなかった箇所が多々あった。

連続ドラマのような面白さはあるけれどこの描き方このストーリーの並びに意味があるのかもしれないと思いつつも一つのストーリーに出来ないのだろうかとも思う。そうじゃないかもしれないが相互に関連しない幾つものテーマがいくらでも続きそうな気がして総花的。というわけでツッコミがしばしば頭を支配してあまり響くものがなかった。
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