ふみぃぃeeeee

カビリアの夜のふみぃぃeeeeeのレビュー・感想・評価

カビリアの夜(1957年製作の映画)
5.0

オールタイムベストを再見。
自分としては『8 1/2 』や『フェリーニのアマルコルド』とかと一瞬悩んでしまいながらも、間違いなくフェリーニのベストとして挙げたい作品はこちらの『カビリアの夜』だ。
初見時、人生観を深く考え直したという経験は自身の映画鑑賞においてこれが初めてだった気がするから今でも忘れられない大切な作品のひとつ。
若い頃には考えもしなかった人生における諦念感についてどう向き合っていくのかというところで自分に合っていたのはフェリーニの悲観的視点でありながらも、生を肯定し続ける哲学かもしれないと最近は実感している。
つまり人生は嫌な事や辛い事ばかりでそれでも前を向いて生きていかなければという通底するもの、例えば前々作の『道』ではジェルソミーナの死こそがそのことについて強調であり、初の気づきとなっていたが、今作のカビリアの溢れんばかりの生命力はそれだけは絶対に許さない。
周囲との絶妙な関係値による手助けにより生だけは守られる。
その辺も個人的に好きだったりする。
そして、あまりにも力強いラストシーンはやはりカビリアの泣き笑顔が全てを集約する。
てか、この顔面こそが人生と言ってしまってもいい。
偶然にも今の自分の状況と照らし合わせることもあったので、有意義な再鑑賞の機会となった。
フェリーニの"映像の魔術師"としての魅力とは本筋が外れてしまう作品かもしれないが、辛い事があった時に観ると勇気づけられる作品では絶対あるから彼の作品観たことないよって方にも是非観て欲しい。

[2024年 10本目]
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