ソラ

ウォンカとチョコレート工場のはじまりのソラのレビュー・感想・評価

4.3
⚠️ロアルド・ダールの原作『チョコレート工場の秘密』に登場するウィリー・ウォンカの誕生秘話
2005年のジョニー・デップ主演の『チャーリーとチョコレート工場』ではなく、どちらかと言えば1971年のジーン・ワイルダー主演の『夢のチョコレート工場』のウィリー・ウォンカの前日譚に当たる。
日本での予告は、やたらとジョニー・デップ版と結びつけようとするので間違える人も多くいそう。⚠️

116分の中で13曲も歌う正真正銘の王道ミュージカル映画。日本語吹替を担当する花村想太やセントチヒロ・チッチの大ファンでなければ字幕版での鑑賞を強くオススメ🍫

日本でもファンタジー映画の金字塔とされるジョニー・デップ版はティム・バートン自身の生い立ちがウォンカの背景に投影されストーリーも脚色されており、少しダークチョコレートのようにビターな仕上がりになっている。

他方で、本作は違うベクトルでネジの外れたチョコ作りに人生をかけるウォンカを新進気鋭の俳優ティモシー・シャラメが演じる。
邪心なく、人を信じ、夢を真っ直ぐ追う天才チョコレート職人はさながらホワイトチョコレートのように綺麗な心の持ち主。
それ故にチョコレートカルテルの3人組や警察、宿屋に邪魔をされてしまう。
夢を見ることを禁じられた街で彼はほろ苦い体験をすることになるが、後味はスッキリとした見応えのあるポップコーンムービーならぬチョコレームービーだった。

Mr.ビーンでお馴染みアーロン・ワトキンソンやオリヴィア・コールマン等名だたる俳優が脇を固めているなか、ティモシー・シャラメは本作でワンランク上に登った気がする。

原作の伝えたかった「自分に正直な者、素直な者は報われ、幸せを分かち合うことは素晴らしい」を体現していた。そして、他のバースのウィリー・ウォンカやチャーリーにも共通している事である。
ウォンカが冒頭で落とした銀貨と時を超えてそれを拾うチャーリーという原作との素敵な繋がりには脚本の妙が光る。
大人になって忘れてしまった何かをチョコと共に思い出させてくれた素敵な作品。

ジーン・ワイルダー版の配色・容貌のウンパルンパやジョニー・デップ版の工場の内装等過去作へのリスペクトも感じられる。
また、後にチャーリーが見つける銀貨やゴールデンチケットがしっかり描写されており、繋がりを感じられる。

チョコの香りをアロマトリックスで放つ装置があれば臨場感や没入感は高まるのかも(確かジョニー・デップ版の時にはあったはず)。
鑑賞後Wonkaチョコレート食べたくなった。
調べてみたところ、かつてネスレが販売していたが2019年にフェレロに権利を譲渡したと同時に販売終了となったらしく再販もなかなか難しそう。
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