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DC がんばれ!スーパーペットの都部のレビュー・感想・評価

3.2
この物語が観客に訴えるのは『気取らずに友達を作ろう』という単純明快なメッセージであり、これは概ね世の中に存在する大抵のヒーローチームが一致団結するまでに抱える共通の課題であるという点で、本作は子供の尺度に則る形で制作されたヒーロー映画と言えます。

原作と比較すると性格や言動の角が取れたJLに代わり、クラーク・ケントの恋人ロイス・レインの存在によって危ぶまれるスーパーマンの唯一無二の親友という立場を守るべく、忠犬クリプトは悪と一人対峙します。
隣にスーパーマンさえいれば良い──と、使命感と独占欲が綯い交ぜとなった自己完結した世界で生きてきた彼はそこで初めて外の世界に存在する他者を知り、世界を救う前に友達作りを始める事と相成るのです。

スーパーマン同様のクリプトン人の身体能力を持つ彼は当初 ペットとして飼い慣らされる畜生を特別な自分とは異なる存在と見下しますが、とある事件によりクリプトは力を失い馬鹿にしていた他のペット達が特殊な力を得ることとなり、この立場の逆転がそこまで一辺倒だった物語に変化を与えます。友人とは対等な立場にある関係を指すと言わんばかりの展開は些か教育的ながらヒーロー映画の愉快さや毒気を伴うハプニングを伴うもので、力を覚えたての彼らが苦心し それに振り回されるクリプトのドタバタな構図は、ヒーローオリジンの立ち上がりと同種の面白さを演出できています。

そんな彼らが対峙するヴィラン:モルモットのルルは自らをレックス・ルーサーの相棒と思い込んでおり、飼い主に求められたい/認められたいと願うが故に悪事に走る姿はクリプトと同じ動機を持った存在として描かれていて、このヒーロー/ヴィランの基本的な対比構図が成されている辺り子供向けと言えどもしっかりとDCのヒーロー映画です。クリプトを除く他の面々は元より捨てられた動物達で、ただただ誰かに愛されたいと願う者たちのヒロイズムの成就は当然 感動的な物として受け取れるように充分な導線を持って語られています。満足というほどドラマが優れているとは言えませんが、しかし十分であることに間違いはありません。

終盤 JLの面々とペット達が巨悪と退治するシークエンスは派手な絵面と個性的な連携の数々が見れるため山場としての役目を十分に果たしており、物語が迎える帰結は御都合主義的あるいは結論ありきのように思えますが子供向けの映画としては100点の結末だということは明白です。
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