Sayo

カラーパープルのSayoのレビュー・感想・評価

カラーパープル(2023年製作の映画)
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かつて「ミュージカルへの苦手意識」だと思っていたものは、「家父長制、異性愛規範への苦手意識」だったのだ!ということが明確にわかる映画。ぼろぼろ泣きながら観てしまった。終始平板で深みのない英語表現についていけない感じがあったが、それも彼女たちの本来の言語ではないからなのだろうか、これはこれでアメリカ人にとってはリアリティがあるのかもしれない、などと考えると悲しい気持ちになった。
最悪な育ての父親との間に産まれた子らを、セリーは理屈抜きであたたかく愛していたことも、親ガチャ的な現代の感覚からすると意外に映る。特に説明はなく淡々とそれはもう、愛するものなのだとしてこの映画では扱われる。物語全体の雰囲気や背景世界は残酷であるが、ミス・セリーのそのまなざしに救われる気がした。
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