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地獄の饗宴のAONIのレビュー・感想・評価

地獄の饗宴(1961年製作の映画)
3.5
かるーいフィルム・ノワール。
序盤は怒涛のテンポの良さ、なのにサービス過剰でモタつく終盤。リズム良い切り返しの編集センス、なのにバタ臭い。「スタイリッシュでバタ臭い」という相反する要素が同居してこそ喜八節か?

なんといっても主役の二枚目半スター三橋達也が良い。絶体絶命のピンチでも、なーんか能天気(に見える)。他の俳優がやれば、目も当てられないような欧米チックで大袈裟な顔芸や仕草も、彼がやれば妙に愛嬌がある。 指を咥えるファム・ファタール団令子、宗教活動に励む社長夫人の中北千枝子、ディズニーの漫画を読んで笑っている殺し屋の佐藤慶など他のキャラも変テコな面々ばかり。

喜八さんの演出もノリにノッている。駅の階段でネガを拾う冒頭シーンからして、天下の宝刀「切り返し」が炸裂しまくる。いつもベットの側に投げ出された靴の「アップ」から始まる寝室(ベット)シーンへの繋ぎ方も鮮やか。 脅迫者・三橋達也と待ち合わせをする団令子を捉えた画面が引くと、それは彼女を見張る殺し屋達が乗っている車内からのショットだったというシーンには痺れた。
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