半兵衛

地獄の饗宴の半兵衛のレビュー・感想・評価

地獄の饗宴(1961年製作の映画)
3.7
いつもの漫画チックな喜八ワールドとは違う、裏社会でひっそりと生きる悪党たちをクールに描いたハードな作風が独特の魅力を放つ作品。岡本喜八監督常連が三橋達也と砂塚秀夫ぐらいしか出演していないことや、黒を生かした映像で物語が展開することもダークな作風に寄与している。

アダルトでドライなチンピラ三橋とキュートな悪女団令子も良いのだけれど、それ以上に悪党の一人を演じる喜八映画の悪党とは一線を画す佐藤慶の凶暴な悪党ぶりに痺れる。中盤の主人公たちを暴行するヴァイオレンスな姿は『その男、凶暴につき』でのたけしが白竜をぼこぼこにする件を思わせる60年代のアクション映画の範疇を超えた凄みが感じられてビビる、そんな奴の癖に喜八映画らしくディズニーの漫画を読んでいるのがちょっと可愛らしい。そして成瀬映画からは想像できないクレージーな悪党ぶりを見せる中北千枝子もかなりのインパクト。

ただ団令子の方が魅力的に描かれているため、肝心の三橋が惚れているヒロインの未亡人池内淳子の存在感が薄くなっているのが惜しい。

『勝手にしやがれ』を思わせるクールなラストも○。

中盤ピンチに陥った三橋を助ける悪党仲間の一人に悪役でブレイクする前の天津敏(結構イケメン)が出演しているのも見所。
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