♪ 想い出はモノクローム 色を点けてくれ
もう一度そばに来て はなやいで
薄いのは仕方ないんです。
連続アニメでは23分×12回=276分なのが劇場版では79分。再編集して3割以下まで圧縮(スタッフクレジット未考慮)されているから仕方ないんです。
それに本作の魅力は日常の積み重ね。
要は7番ショートのいぶし銀的存在。4番サード的な存在感は然ることながら、代打満塁ホームランを期待したらダメなのです。堅実に紙面を支えるのが仕事なんです。
但し、但しですよ。
そんな7番にだって意地はあります。「意外性の一発」だって打つことはできるんです。というか、久米田の野郎(by赤松健)に泣かされるのは本編ではなく劇場版。まさかの一発でした。
えー。これを最初から仕込んでたんですか。
途中で思いついて変更したとか、こじつけたとか、そんなんじゃないんですか。この、この、この最高の“伏線仕込み野郎”め。最高じゃないか。“わたせせいぞう”風味の青(いや、蒼か)にも意味があったなんて。
もう、あの頃の久米田先生はいないんですね…。勃起させて「はーん」とか下ネタを描いたり、少女から「あざといって何ですか」と訊かれて戸惑っていたりした久米田先生は“夏の幻”なんですね…。寂しいなあ。
ちょっと余談になりますが。
ネット文化真っ盛りの昨今、久米田先生のご尊顔をSUUMO(スーモ)のサイトで拝見させていただきました。というか、そこにあるインタビューで知ったのですが、西新宿とか渋谷とかに仕事場を構えていたんですね。
騙された!騙された!
薄汚い漫画家なんて仮面をかぶった“ファッキンおしゃれ野郎”だったなんて騙された!
…とかネタですからね。
本気にしないように(by赤松健)。そもそも、久米田先生がオシャレなのは昔からですから。
まあ、そんなわけで。
出来れば全12話を楽しんだうえで鑑賞したほうが良い劇場版。物語の根幹に関わる新規カットがあるので本作も見逃せませんが、前半は眠気と闘う必要がありますので要注意です(ご新規さんならば眠くなりません)。