こたつむり

シティーハンターのこたつむりのレビュー・感想・評価

シティーハンター(2024年製作の映画)
2.8
♪ Get wild and tough
  ひとりでは解けない愛のパズルを抱いて

小説と違ってマンガの映画化は難しいですよね。
既にイメージが固定されているから、それをクリアしないと評価されないんです。小説の映画化で許される“性別の変更”なんて以ての外です。

そして、本作の場合。
その辺りはかなり奮闘していたと思います。
マッチョな体型の冴羽獠なんて選定が難しかったと思いますが、鈴木亮平さんのチョイスは見事な限り。野上冴子役の木村文乃さんも高いハイヒールを履いて頑張っていました。

こういう製作側の想いって伝わるんですよね。
だから、序盤は面白かったです。やたらと「もっこり」を推すのは苦笑いが止まりませんが、これは原作も同じ話。雑多な新宿の雰囲気も再現していたし、生温かい目で見守っていたんですが…。

そう。本作には大きな難点があったのです。
というか、これは本作に限らず『シティーハンター』を実写化するにあたり、必ず付きまとう話。

それは槇村香を誰が演じるのか。
原作愛がビンビンと伝わってきたフランス版でも微妙でしたが、慈愛と憤怒の二面性を持つ彼女を演じるのは難しいんです(ちなみにフランス版は憤怒寄りのキャスティングでした)。

しかも、本作が扱った「ユニオンテオーペ編』は原作でも序盤の序盤。獠と香の関係性が固まっていない頃の話なんですよね。なので、彼女の魅力をいかに描くか…がとても難しい課題だったと思うんですよ。

そして、本作はその課題から目を逸らした…ように見えました。香は“空気を読めない”キャラクターと化し、獠からも香を大切にしている雰囲気が伝わってきません(相棒の遺言を守る…くらいの想いは伝わってきますけど)。

この辺りはアレンジのし甲斐があると思うんですけどね。外観は原作のイメージを尊重したのだから、多少は踏み外しても許容範囲内なんですが…。邦画は保守的…というのはネトフリ資本でも変わらないんですね。

まあ、そんなわけで。
脚本の弱さが如実に露呈した作品。
期待値低めをオススメします。特にエンディング曲は…首を捻り過ぎてグルっと回転しちゃうかもしれないので要注意です。新録じゃなくてオリジナルで良かったのになあ。
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