段ボール箱

モーリタニアン 黒塗りの記録の段ボール箱のレビュー・感想・評価

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9.11後、疑心暗鬼に陥るアメリカに翻弄されたある青年を巡る、実話ベースの長い裁判の物語。

主人公はモーリタニア出身、ドイツに留学するほど優秀な人物だが、知人を通じて9.11首謀者との繋がりを疑われ、米国政府によって逮捕されてしまう。
「世界の警察」として9.11首謀者に連なる人物を次々世界中で逮捕してはキューバの収容所へ送っている当時のアメリカだが、改めてこの9.11という大きすぎる悲劇がもたらした憎悪の規模に慄いてしまう。

カンバーバッチの出演作を見ようキャンペーンで鑑賞したけれど、俳優陣は彼だけでなくタハール・ラヒムもジョディ・フォスターもみんな良かった。特に主演のタハール・ラヒムがかなり良くて、投獄中に金網の穴から海を垣間見るシーンや隣の房の顔の見えぬ虜囚とのやりとりでは見ていて心が苦しくなるほどだった。

娯楽映画ならどんな役者が出ていても気にならないものだけど、社会派の映画の場合はこの作品のように本当に実力のある数人で固められているものだとしっかり入り込んで観られるから好み。
一番ノイズ少なく観たいのが社会派ドラマ系かもしれない。