甲子園の魔王

裏ゾッキの甲子園の魔王のネタバレレビュー・内容・結末

裏ゾッキ(2021年製作の映画)
-

このレビューはネタバレを含みます

ドキュメンタリーは毎回点数付けるのに困るので今後は特別思うところがない限り基本ノースコアでいこうと思うんだけど、正直今作は『ゾッキ』本編より見応えがあった。
映画制作と町おこしの内幕、コロナが蒲郡市と映画業界に及ぼした影響などがかなりあけすけに語られていて面白い。総務部が協賛金集めの為に地元信用金庫のお偉い方にお願いして回るところまでカメラにおさめてるのなかなか貴重だろ。

ピエール瀧の業界復帰を追う週刊誌との攻防や地域住民とのいざこざなども生々しくて興味深かったが、お笑いフリークとしては元コウテイの九条が初挑戦の芝居に戸惑い、精神的に不安定になっているように見えてならなかった。まあこれはその後の顛末を知っているからこそのバイアスがあるだろうけど。

先に『ゾッキ』を観ているので映画本編の温度と、町おこしを企画する地元のプロジェクト委員会の熱量にだいぶ差があるなと思っていたが、監督の一人である斎藤工自身もそれを感じていて面白かった。
斎藤工「原作読んでるんですかね?」
朝ドラでも撮るんかってくらい老若男女がこの映画を盛り上げようと和気藹々してたけど、かなりターゲットの偏った作品だと思うぞゾッキ。家族で見るには気まずくなるネタが多過ぎるだろ。福くんのメモとかどういう気持ちで観てたんや。でも映画観終わった直後の小1の娘にお母さんが感想を求める際に「どう?変な映画だった?」という訪ね方をしていて、“変”って言葉はなんて懐が深いんだろうと涙した。その女の子は感想カードに「マネキンがこわかった」と書いていた。それな。

撮影現場に通りかかった近所のおばあちゃんから「あんた今から売れるだね?頑張らにゃあかんよ」と励まされる松田龍平、最高。
甲子園の魔王

甲子園の魔王