半兵衛

総長の首の半兵衛のレビュー・感想・評価

総長の首(1979年製作の映画)
2.5
そもそもベラミでの銃撃事件を取り扱うこと自体がとんでもなくヤバイのに、結局そのままの映像化は無理なのが解ったので大正時代に舞台を変更したためカオスな内容へ。そこへアナーキズムやダメなテロリストへの共感という中島貞夫監督が好きなテーマを情感深く描いてデコレーションしているので一層混迷が深まることに。でも飢えていて暴力でのしあがろうとするも結局挫折する若者のドラマはそれなりに見ごたえがある。

ただ一番の問題は本作で抜擢した三人の若手俳優が東映で全く育たなかったことで、そのことが現在の東映の苦境に繋がっているのではと思えてくる。この三人では不安なので菅原文太をつけているが、正直こいつもワケわかんない奴なので要らない気も。

川谷拓三、渡瀬恒彦、室田日出男といった実録路線に必要不可欠な役者が出ていないのが変化していく当時の邦画界の状況を物語っている。あと丹波哲郎や鶴田浩二、安藤昇という無駄に豪華な役者が出ているけれど正直豪華すぎて映画の内容にあっておらず食傷気味になってしまう。

フルチンで襲撃する岸田森はかなりのインパクト。
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