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浅草キッドのヘイヘイのレビュー・感想・評価

浅草キッド(2021年製作の映画)
2.9
“ビートたけし”という存在の捉え方は、各年代の人々によって様々だと思います。

現在30代前半の私の場合は、”世界まる見え!テレビ特捜部”と”スーパージョッキー”(いま思い出すとめっちゃ懐かしい)に出ているおもしろふざけたおじちゃん、のイメージがめちゃめちゃ強い。父がビートたけし信者なのもあり、教育に良くないであろう番組であっても、ビートたけしが出ていれば家族で観ていました。

脱線ですが、平成初期のこの頃のテレビって本当に面白かった記憶。世界まる見えの後はスーパーテレビをみて、家族3人で寝てたなぁ。。あぁ、懐かしい( ;∀;)

とにかく”世界まる見え”は大好きで小学1年から高校くらいまでは毎週欠かさず観てました。その影響で自然と海外に住む人に興味を持つようになり、大学の時にアメリカに留学し、新卒カードは航空会社の就職に使いました。

そういう意味では、私の人生に”ビートたけし”は深く関わり合いがあるのです。(ほぼストーカー的思考)

何冊か本も読んだことありますが(たけしくん、ハイ!とか)、彼が生きた昭和の郷愁が文章からじんじん伝わってきます。本だけでなく、絵も描くし、映画も作るしで本当に多才な方だなぁ、と尊敬してます。

そんな”殿”に関する映画なので、観ないわけにはいきません。以下、正直な感想です。(ネタバレ含む)



















まず、Filmarksでの評価がすごい高くてびっくりしました。確かに演技派といわれる役者さん達を結集してやってますし、泣きポイントは何箇所かあります。

ただ、個人的にはどうしても、紋切り型の”いい話”に終始してしまっているのうで手放しで良かった!!とは思えなかったです。(これは個人の好みです)

お話のベースとしては、”劇場は廃れ、テレビの時代へ。師匠は落ちぶれ、弟子が活躍していく。”
でも、こういう話って、もはやテンプレみたいなもので今までにもたくさん観てきたから…

事実がそうなんだから、仕方ないとは思います。でも、こういう話は何度も繰り返し作られてきてるわけで…
正直、題材は全く悪くないですし、みんなビートたけしの秘話を知りたいので、もうちょっと別の視点や要素を加えて描いて欲しかったなぁ、と。

あと日本作品あるあるなのですが、遺影写真と独り言で会話しながら〜みたいなシーンは、もう使い古された演出すぎて…です。

最終盤の回想チックなシーンも、個人的にはうーん🤔でした。これはタイタニックのラストシーンを想起させられましたが、あっちはあのお婆ちゃんが天に召されゆく(私はそう捉えています)中で、人生で最も還りたかったあの瞬間に戻った、ていうシーンですよね。(私大好きなシーンです)

今タイタニックを例に取ったのは、たけし別に死んでないし!ということが言いたいのはではなくて、なんかこの作品ではあそこだけ取ってつけたように無理やりノスタルジーを感じさせようとしてくる演出が押し付けがましいな、と感じただけです。
でも、たしかにどうこの話を終わらせるか、ってなったら、こういう風に終わらせるのは無難かなぁ、と。というか、自分も他に思いつかないなぁ。


逆に良かった点もあります。
師匠と弟子の関係性とか、タップ習得のモンタージュシーンも高揚感あっていいなぁ、と感じました。

終盤の火事で師匠が亡くなるシーンも事実に基づいてるのですね。物語をドラマチックにするための演出だと思って見ていたので鑑賞後に調べてみて驚きました。
また、その訃報の知らせも、ひょうきん族の収録中だったようなので、あのシーンも事実に近いようです。

wikiも読んだのですが、師匠の深見千三郎さんという方は、実際に萩本欽一さん等々錚々たる芸人さんの師匠ですが、テレビに全く出なかったので、浅草界隈でしか知られていない幻の浅草芸人と呼ばれているそうです。私は原作を読んでいなかったので、こういう方がいたことも知りませんでした。

そういう意味では、本作が制作されたことによって深見氏にスポットがあたり、またその存在を広く知られるようになることは、とっても意義のあることだと思います。それは、私も自分が死んだとしたら、なるべく多くの人に自分のことを覚えていてほしい、思い出してもらいたいと思うからです。

深見氏もきっとこの作品で描かれているような弟子思いの優しい師匠であって、それをビートたけしがちゃんとたけし軍団というものに受け継いでいったのだなぁ、と考えると感慨深いものがあります。


あとは、エンドクレジットにて、ビートたけし所作指導:松村邦洋ってなっていて笑いました。たしかに似てた。

そして、最後の最後に気づいたのですが、ビートたけしさんに全く”さん”付けしていませんでした。つまみ枝豆(さん)にボコられたくないので、お読みいただく際には勝手に”さん”付けてお読みいただくようお願いいたします、なにとぞ。٩( 'ω' )و
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