佐藤克巳

果てしなき情熱の佐藤克巳のレビュー・感想・評価

果てしなき情熱(1949年製作の映画)
4.5
フェリーニ「道」を連想したが、市川崑監督のこっちが先。芸術家は、自分の身を切り刻んで創作するとの思いが前提で、作曲家堀雄二が、信州湖畔で出逢った令嬢折原啓子への思慕が「湖畔の宿」、3年後東京での再会が「夜のプラットフォーム」。流行歌になっても自分だけのものとしたい苦痛感と、尽くされるキャバレー女妻月丘千秋に対する裏切り行為の狭間に揺れる荒れた生活。折原が死に自殺を試みるが月丘の静止に踏み止まったが、アパートから彷徨い出て海の小波に身を投げ嘆き収める。服部良一の名曲の数々で、山口淑子「蘇州夜曲」、淡谷のり子「雨のプルース」のショーの雰囲気をそのまま味わって、笠置シヅ子の好助演、「セコハン娘」「ブギウギ娘」のエンターテイメントが最大の貢献度となった。
佐藤克巳

佐藤克巳