とりん

靴ひものロンドのとりんのレビュー・感想・評価

靴ひものロンド(2020年製作の映画)
3.6
2023年60本目

勝手に喜劇だとか崩れた家族が元に戻るハートフルな話だとか勝手に勘違いしてましたわ。
なかなかに辛辣な作品。
夫婦と息子娘2人、4人で暮らしていた何気ない家族、ある日夫から他の女性と関係を持ったという告白から歯車が崩れていく。
妻は夫のやったことを許せず、子どもたちにも家庭にも責任を持てと言わんばかりの強気、夫は常に無気力な感じではあるもののかなり自分勝手でその言動や行動で妻を振り回してくる。
確かに夫がしたことや行動は許せないが、妻もなかなかのもの。一度は離ればなれになった夫婦だが、ある日夫と子どもの面会を求めたところをキッカケに再び家族はひとつになる。
ただそれが結果的に良い方向転がったかと言えばそうではなく、蝕まれていた子ども2人の心や結局最後までギスギスしたままの夫婦だったりとなかなかに散々。だからこそ子ども2人の行動はすごく納得いく。どれだけ苦しんできたか。
でもこの子ども2人もなかなかのもので、特に娘が夫の不倫相手に対してあの感情を抱いていたのはなかなかに罪深い。確かに美人だけど、自分の娘があんなことを思ってることを知ったら耐えられないなぁ。
時系列がなかなかに交錯してるのは観ているものにとっては分かりづらかったりもするが、あの時の裏側を知るという風に捉えるならば良い構成だった。
そしてオープニングや物語が転換する場面で流れるあのリズミカルな曲はなかなかにシュールで強烈で印象深い。
思っていたものとは違ったがなかなかに面白い好みな作品だった。
とりん

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