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Miss.エージェントのドントのレビュー・感想・評価

Miss.エージェント(2021年製作の映画)
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 2021年。これはなんだろう。なんだろうなこれは。秘密裏に中国の病院に侵入し、同行した人物に新生児への「手術」をさせる任務についた女性エージェント。しかしその任務内容に疑問を感じた彼女は独自に調査を開始し、やがて恐ろしい陰謀に突き当たる。
 ……と、あらすじでまとめるとそれっぽくなるのだけれどこの映画、まず上記の任務のシーンからではなく、学者殺害事件を追っていた刑事の元にCIAを名乗る女から連絡があって会ったと思ったら追いかけられて、追跡者やCIA長官を名乗るオッサンから逃げ切って、どこかわからない場所で誰かわからない人たちと彼女が会談をしていて、というなんか危機的状況らしいが軸が見えないフンワリした流れではじまる。
 そこから彼女のCIAでの仕事ぶりとか上司からの叱られとかそういうのがあったりして「なぁ、俺の中国出張の仕事代わってくんない?」「いいわよ」みたいな流れがあってやっと冒頭のあらすじ部分になり、罠にはまってムショに入って5年経ったりマイクロチップとか逃避行とかそういうのがあって会談シーンに戻るという作りをしていて、上手くやれば小粋なアクションとしてアリなんだろうけど全体に話が見えづらくて撮影とか演出とか繋ぎもアレで「???」となりつつ脳内で補完せねばならない作品なのであった。
 女エージェントが敵をかっこよくシバくのが見れるのかと思えば、確かに主人公は強気顔で七変化みたいなのはあれどもキレまくりのアクションなどはなく、肉弾戦銃撃戦はあれど「あっ、えっ、そう?」くらいのが並び、まぁ偉いモンで車が回転爆発したり手榴弾が(通常の規模を大幅に超えて)炸裂したりというのはあるけれども、とくに……見所とかは……。
「追突された車が凹んでない」「ちっこい中国絵画みたいなのとか『愛』『自信』と書かれた掛け軸が下がっていたり漢字表記パネルを4枚くらい貼ることで中国の病院ということにする」「知らないお姉さんの遊びに即乗る子供」「ワイヤーでツルーッ!と斜め滑りしながら漫然と銃を撃つ」「自動小銃2丁撃ちがブレッブレ」「そんなやんわりした終わり方ある?」などの引っ掛かりが多く、俺が疲れているのかもしれないがとにかく疲労を感じる映画だった。
 低予算映画なのはわかるがなんでこういうシオシオの出来に? どうしてこうなった? と眉をひそめていたら、無駄にかっこいいエンドロールにて主演、プロデュース、監督、脚本すべてが「ジア・スコバ」さんとなっており膝を打った。映画には何本か出ているものの本業はロシア生まれのモデルさんで、つまりジアさんの私の私による私カッコイイムービー、厳しく言うなら「思い出作り」映画というわけなのであった。
 なるほどそれなら生温かい気持ちで「そうですかぁ」と言える。でもせめて監督と脚本は、いやもう脚本だけでも別の人にやってもらった方がよかったんじゃねぇかなぁジアさん。俺そう思うんだよ。なんでこんなややこしい映画になっちゃったんですかね? そんなこんなでクールストロングビューティーアクションなりそこね映画であった。おわり。
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