Koga

クライマーズ・ハイのKogaのレビュー・感想・評価

クライマーズ・ハイ(2008年製作の映画)
1.6
題材を完全に無に帰した世紀のカス映画

事故の重大性と原因について未だ残る疑問、モデルになった上毛新聞記者の苦闘をすべて踏みにじるような最低な脚本だった。好色の老害社長や悠木記者の息子、クモ膜下出血で亡くなった同僚など事件と無関係な上にリアリティもないキャラクターが多すぎる。ありきたりな悪役でつまらないし、主題もぼやけて完全に蛇足。画面も一昔前のテレビドラマ程度のクオリティで見るに耐えない。むやみに感情的なシーンが多すぎて白けてしまう。記者のやり合いやスクープ合戦、特に通信社や他紙との競り合いなどはリアルだったのでそこだけは評価しますがそれでもこの点数が限界。

123便については本当にさまざまな言説が流布されているので何が正しいかはなかなか見極められない(陰謀論めいたものも多い)。ただ、個人的には何か作為や隠蔽が行われた蓋然性が高いと思っている。独りで追い続けている元日航CA青山透子さんの著作が最も信頼性が高いと思っているが、やはり事故調公式見解だけはどうにも納得がいかない内容だと感じる。その点でも、様々な示唆がなされながら事故から逸れてしまった本作は本当に残念。いつか真のスクープが出ることを期待したい。
Koga

Koga