Sanald

あの夏のルカのSanaldのレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
3.8
イタリアの軽快で爽やかな音楽と、歌うように話される言葉が随所に出てきて、
真冬なのに鮮やかな夏の海を肌で感じているような気分を味わえた。

子が心配すぎるが故に過保護になる親と、その窮屈さから逃れたくて冒険に出る子ども。どんな世界でも起こりうる話が、なんと海から陸へ展開する。
しかも、主人公ルカと友人アルベルトは、水を被ると「シーモンスター」の姿になってしまうハンデ付き。
憧れのVespaを手に入れたくて、街の変わり者ジュリアと共に、年に一度開かれるレースのチームを作るが…

子どもの喧嘩が実にリアルで、3人組によくある話だよなぁと思わず微笑む。
どの保護者たちもやさしく子どもたちを包み込んでおり、街のあたたかさがうかがえる。あと、パスタやジェラートがとても美味しそうだった。

一方で、いじめっ子の描き方はあまりにもオーソドックスすぎたか。主人公に対してかなり歳をとっている設定も浮いてしまった要因の一つだと思う。
また、ルカの両親がルカを探すときの手段も、当然とは言え非現実的だった。大人にあんなことされたら子どもはトラウマになっちゃうじゃないか…

エンドロールで、その後の彼らの姿が描かれているのがとてもよかった。
自分の頭の中で「きっと彼らは○○だったのだろうな」と楽しみながら想像することができた。

息抜きにぴったりの爽やかな作品。
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