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あの夏のルカのwisteriaのレビュー・感想・評価

あの夏のルカ(2021年製作の映画)
4.0
これも今年2022年のアカデミー賞長編アニメ部門ノミネートを受けてDisney+で初鑑賞。原題はシンプルに"Luca"。

いろいろな種類の良質なノスタルジーを喚起する、夏休みに大人も子どもも一緒に安心して楽しめる佳品という印象でした!コロナ禍もあってDisney+配信限定になってしまったのが惜しまれますね。。

舞台はイタリア🇮🇹の港町ポルトロッソ。
陸の人間と海のシー・モンスターの分断のある世界観。シー・モンスターというのは海では人魚のような姿だが、陸に上がると人間になる、今作は男の子たちが主役だからリトル・マーメイド🧜‍♀️アリエルの男女逆転版のような設定。

海の世界に暮らすシー・モンスターのルカは親友アルベルトと共に別世界への好奇心🛵から港町に潜入、そこで出会ったジュリアという少女と隻腕のパパとふとっちょの猫とのひと夏の共同生活をはじめることになるのだが、、、といったお話。

子どもの頃の別世界への憧れというノスタルジーを優しく丹念に描き上げている。それでいて後半の謎のイタリアン🍝トライアスロンなど活劇としてもなかなかの迫力!そして『ラーヤと龍の王国』同様、仲間内の限界を超えて思いを拡げるには?という分断の進む現代における喫緊のテーマとも真摯に向き合っている。

ポルトロッソという港町の名前やその雰囲気からも『紅の豚』とか鞆の浦を舞台にした『崖の上のポニョ』からの影響が色濃くうかがえてそういうジブリ的アニメ絵のノスタルジーも感じられる。実際、本作のエンリコ・カサローザ監督自身その影響を公言している。宮崎駿信者の私としては何だか誇らしい気持ちもあり、また同時にピクサーにはもっと攻めた独自性を貫いてもらっても良いんだけどなーという感もあり。また日本語吹替版ではエンディングに井上陽水「少年時代」のヨルシカによるカバーが入っていてそういう意味のノスタルジーも味わえる。
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