Jimmy

緑の小筐のJimmyのレビュー・感想・評価

緑の小筐(1947年製作の映画)
4.0
未ソフト化作品である。(鑑賞当時)

夫(夏川大二郎)と妻(相馬千恵子)、そして息子の三人を中心とした大映映画。
相馬千恵子が清々しい美しさ。
浦辺粂子が産婆役で出演している。

冒頭、のどかな山の中で大自然に囲まれて生活している夫婦が、あくせくした現代と比べてしまうと、羨ましい限りである。
そんな環境で幸せに暮らしている夫婦に男の子が生まれる。
そのころから、夫は「親父も俺も山の中で暮らしてきたが、子供は世の中を知るべきではないか。それには自分が漁師でもして荒波にもまれて帰ってくる」という凄い論理で、自分が船乗りになる。しかし、その漁船が難破して「旦那さんは恐らく死亡」との連絡が妻に入る。ここで、妻が苦悩する場面が迫力あり。
息子も少し大きくなり、(モノクロなので色は良くわからないがタイトルから)「緑の小筐」を川に流す。それが川を下り、ダムも越えて、海に出る。
途中で何度か人が筐を拾うが、そのたびに川に返す。中でも、拾った若者たちが「川にかえしてやるのがロマンチックでいいんじゃないか」と言うあたりは、心優しい感覚。
そして………。

この作品、トーキー映画ではあるもののセリフが少なく、サイレント映画っぽい感じである。そのため、映像と音楽でゆったり流れる時間を描写していくあたり、好感が持てる。
映像の力を信じた映画は、イイものだ。
なかなかの佳作である。
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