こたつむり

劇場版BUCK TICK バクチク現象 2のこたつむりのレビュー・感想・評価

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♪ 指と指がそう、触れ合って 
  舞い踊る君 幻
  夢見て 夢見ている宇宙 I love…

BUCK-TICKデビュー25周年記念作品の後編。
前編はレコーディングも捉えていましたが、後編はツアーが主軸。正直なところ、単調な構成なので彼らを知るには物足りないかもしれません。

でも、その隙間で伺えるのは“キズナ”。
劇中でもヤガミトールさんが仰っていますが、スタッフを信頼しているのでしょう。確かに音を作りあげるには時間が大切。熟成した関係性が素晴らしいステージを作るのです。

それにリハーサルや楽屋の姿からは、ライブ本番に向けた“努力”が伝わってきました。やはり日々の積み重ねが大切なんですね。本番を魅せるための“日常”は説得力が違います。

また、BUCK-TICKの要と言えば今井寿さん。
卓越したメロディセンスと真剣な眼差しは“ぶっきらぼうな天才”に見えますが、仕種のひとつひとつから“音を楽しんでいる”様子が見えたのは意外でした(少し失礼な話ですが)。

まあ、そんなわけで。
長年のファンならば鑑賞済でしょうが、本作をきっかけに裾野が広がると嬉しいなあ、と思いますので、この場を借りて布教いたします。BUCK-TICKは最新作が最高傑作。是非とも新作にも触れてください。

ちなみに僕の独断と偏見で言うならば。
彼らを万全に評価するにはアルバム全体に触れるのが吉。アルバム毎に“魅せる顔”が違うので、色々と聴き比べてみると面白いです。

ただ、時間が無ければ一曲だけでも構いません。僕の趣味で言えば『或いはアナーキー』に収録されている『世界は闇で満ちている』をオススメしたいところ。優しいメロディと飾らない歌詞が胸に沁みるバラードです。

激しい曲が良ければ最新アルバム『ABRACADABRA』に収録されている『Villain』が面白いです。あの歌詞は…セルフパロディなのでしょうかね。

また、個人的なオススメは推理小説を読みながら聴くこと。ちょっと邪道な楽しみ方かもしれませんが、オリジナルレシピのようなもの。蕎麦に唐辛子をかけるように、またはラーメンにニンニクを入れるように。気軽な気持ちでお試しあれ。
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