恋人はアンバー
作品の意図がストレートに伝わってきて分かりやすく、LGBTQ映画だけどコミカルな青春映画でもあり、最後まで楽しめました。
1995年、アイルランドの田舎町。ゲイであることを受け入れられずにいるエディと、レズビアンであることを隠している同級生のアンバーは、周囲にセクシャリティを悟られずに卒業するため、カップルを装うことに。
昨今のLGBTQ+青春ものとは様子が異なり、エディは断固としてゲイであることを否定し続けようとする。それだけ当時は、ゲイやレズビアンへの差別や偏見が根強いことがよく分かり、エディやアンバーの置かれた環境に胸が苦しくなる。
物語が進むに連れ、アンバーが自分のセクシャリティをオープンにしていくのに対し、殻から抜け出せずにいるエディ。そうした自己肯定感の差が、時として相手の心を傷つける言葉を口にしたり、二人の関係に影響を及ぼすところがリアルで切ない。
ラスト、二人の見せる表情が印象的。一体がどんな大人になったのか、観終わると想像力が膨らましてしまう。そして30年近く経った今、少しは生きやすい世界になったのか是非二人に聞いてみたい。