インドの都市カーンプル。かつては東のリヴァプールと謳われた工業都市だったが深刻な電力不足によって工場も半減。盗電がまかり通る暗闇の都市になってしまった。カーンプルで盗電のための電線つなぎを生業にするロハ・シンと、電力会社KESCOの最高責任者を中心に問題を浮き彫りにするドキュメンタリー。
むちゃくちゃ面白かった!
電力がなければ仕事も生活もままならず料金を支払わずに電気を使い続ける住人と、支払いがなければ電力不足を解消できないと主張して支払い訴訟や断線を強行する電力会社とのぶつかり合い。どちらの主張も理解できるニワトリ卵状態。州知事選を左右するカーンプル最大の問題に、暴動寸前の小競り合いだけでなく、それぞれの私生活をフォーカスした場面も面白い。
それを何不自由なく電気を使いながら見ている自分の状況を再確認させられる、日本のエネルギー問題にまで思いを至らせる。これぞドキュメンタリーの機能のひとつだと思う。
アジアンドキュメンタリーズはマイナーなサブスクサービスだけど、配信されている作品はどれも個性的でここでしか見られないようなものばかり。月額990円だし、月額契約じゃなくても1本450円でその場限りのペイパービューもできるので、まずは1本。お気に入り数の高いものでいいのでぜひ試してほしい。