なつかし二番館

親愛なる同志たちへのなつかし二番館のレビュー・感想・評価

親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)
4.2
「アンドレイ・ルブリョフ」「暴走機関車」のコンチャロフスキー。老いてもなお死せず,を見せた作。
最初に見た紹介からは,戦時にはもてはやされた従軍女性が戦後は白い眼で見られ,という話かと思いきや,その経験は最後で少し語られるだけ。ソ連崩壊で明るみに出たフルシチョフの雪解け期(それも末期)にあった,にわかに信じられない話がモチーフ。

フルシチョフ時代も長く続き,人々は不平を言いつつソ連的日常生活が過ぎていく,そこへ突然のサイレンが。

なかなか配信されないと思いますが,2020年にロシア語で作られているというような色眼鏡を捨ててみてください。ソ連史を勉強してごらんになることを勧めますが,作品だけでもわかるようにちゃんとドラマができています。

ソ連時代には体制の制約の中で見るべき作品を作っていたのに,崩壊後は,ロシア独占資本の思惑通りに,ロシア賛美,資金を出してくれるドイツなんかに配慮してドイツ軍も苦労したみたいなのを交えながら,ハリウッドばりに愛国的な作品を作る某監督もいるから,こういう作品は大変貴重と思う。
日本で見る人の側の知識として最低限,プーチンは独占資本の代弁者であり,今のロシアに反プーチン,反独占の隠れ世論はあっても,社会主義支持勢力はほとんどいないことは理解すべきと思います。ロシアでソ連批判映画そのものはいくらでも作れますが,そのスタンスが問題なのです。