自分の信じる事、物、人
それを信じ、続ける道の険しさ
最も師匠に尽くし続けてきた弟子である主人公シャラドの報われない日々
信じ、疑い、迷い、戸惑い、また信じる。
道路を走りながら、マアイの言葉を聞く幻想的なシーン
そして、何度も聞いてきた講義を聴くのを辞め、華やかな商業広告を眺める心の変化
古典音楽の中では、声楽家が最も地位が高い。
中年になった頃のステージで、タブラの青年が声楽家を差し置いて、自分のソロで前へ前へ出てくる。
古典音楽界の中でも変わりゆく主従関係。
沢山の弟子に囲まれている著名なグルジでさえも貧相な暮らしを余儀なくされている。
カーストの高い人々の中で紡がれてきた崇高な古典音楽が、ショービジネスで駆け上がる為の踏み台や、果てはアウトカーストの少年の物乞いの唄の中でしか紡がれていけない。
やけに綺麗なその少年の歌声に何を想ったのだろう。