リミナ

スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバースのリミナのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

”Across”の副題が指す通り、多次元が交差する約4年振りの続編。

見所は何といっても映像面。前作を遥かに超える人数(数百人)のスパイダーマンが登場する本作では、次元ごとに映像表現を変えているのが特徴。
表現方法は平面的なアニメーション、絵画タッチ、レゴブロックを使ったストップモーション、実写、etc.と際限がない。次元の違いが視覚的かつ直感的に表現されている。これは目まぐるしいアクションシーン内で似たカラーリングのスパイダーマンを差別化させることにも役立つ。
また、構成的にも冒頭にヴァルチャー戦が配置されたことで、観客にその設定が自然と伝わるようになっている。

シーンの見せ方としても、アクションでは前作になかった水エフェクトを用いたり、壁面にくっ付ける特性を活かした上下真逆の構図など新鮮さが感じられた。

物語は単に新たに登場したヴィランと戦うストーリーではなく、前作で起きた出来事に起因する縦軸の繋がりがあるものに。前作の制作時点から本作の構想はあったとのことで整合性が取れている。
必ず身近な人物が亡くなるという物語のメタ的視点からの展開。実はマイルスの存在がイレギュラーであり、本来は味方であるはずの別次元のスパイダーマンが敵となる。そして結果的にスパイダーマンが存在しない次元が誕生しそこに飛ばされてしまう展開は予想がつかず楽しめた。前作ではてっきりピーターのときと同じ蜘蛛にマイルスは噛まれたのだと思ってしまっていた。

その他にも、前作に引き続き様々な媒体のスパイダーマンの要素が随所にあるのは、ファンにとって嬉しいところだろう。
また、その情報量の多さからリピートする動機にもなり得る。

本作の結末はクリフハンガーとして続編に続く形で幕を閉じる。
既に続編は2024年公開予定と発表されているため、特に抵抗感はなかった。
続編"Beyond”はどう本作を越えていくのか、公開が待ち遠しい。

不満があるとすれば一点、字幕版ではスペイン語の台詞(マイルスの母親)も日本語で分かるようにして欲しかった。
リミナ

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