「アフガニスタンに同性愛者はいない。そういう単語もない。(もしいたら)家族にとって恥となる」
アフガニスタンからの難民であり、ゲイでもあるアミンの、幼少期からの20年を振り返る回想録。
彼ら難民が、いかに人生を限られた選択肢の中で生きてきたかが分かる作品で、このドキュメンタリーを観ると難民問題への見方が大きく変わる。インタビュアーであり、長年親交のある監督にすら、なかなか心を開ききれずにいるアミンが不憫でならなかった。
父が捕まり、母も老いて容易に動けない状況の中、アミンを含む子供たち4人はいかにして生き延びたのか。アフガニスタンがアメリカとソ連の思惑に翻弄されて内戦状態になってしまったことで、亡命を余儀なくされてしまったことが本当に残酷だなと。明確な故郷を持てず生きてきたことで、自分のアイデンティティに自信を持てずにいる様子も切なかった。ゲイであることもデンマークに来てようやく受け入れられたことには安心したし、スウェーデンの兄が良い人で本当に良かった。
以下、セリフメモ。
「故郷とは何か?」
「落ち着いて暮らせて、逃げる必要のない場所。一時的ではない場所」
「姉二人は船の中で死にかけたんだ」
「ロシアの警察はクソだ。しかし金さえ払えば逃してくれる」
「エストニア警察に連絡した。諸君らを母国へ送還する」
「兄は10代ながら家族にとって責任感があったらしく、僕を先に逃してくれた」
「お前はロシア人だ。家族もいない。我々の筋書き通りにしろ」
「もしこの国を出られたら、ビッグマックとコーラでお祝いしよう」
「密入国業者に人生を支配される。僕には何もできない」
「人に話すとき、ずっと生い立ちと矛盾がないように怯えながら話している」
≪姉二人は誘拐され、父母と兄は逃げる途中で殺された≫
「恋人とキャリアと教育から一つを選ばなければならない時、僕は迷いなく教育を選ぶ。家族にために成功しなければならない」